国際協力を目指す人のための映画パート1「BEYOND BORDERS すべては愛のために」

*記事の最後に映画の予告編動画あり。

 今回は将来国際協力を目指す読者の皆さんに、ぜひオススメしたい映画を紹介します。2003年のマーティン・キャンベル監督作品BEYOND BORDERS すべては愛のために』です。主演はこの映画がきっかけで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使に就任したアンジェリーナ・ジョリー(サラ役)。そして、紛争地帯で活動する医師・ニック役を演じたイギリス映画界の至宝 クライブ・オーウェン。彼の生粋のブリティッシュアクセントは渋すぎますよね。

 映画の舞台は飢饉に喘ぐエチオピア(実際はアフリカ南部のナミビアで撮影された)、独裁者ポル・ポト政権下のカンボジア、そして旧ソ連下のチェチェン共和国。私がナミビアで植林活動に取り組んでいた時に、アンジョリーナ・ジョリーがナミビアのヘレロ族の子供を養子にしたことと、野生動物保護区での支援活動のため、当時の夫ブラッド・ピットとナミビアを何度も訪れ、この映画の公開も相まって地元では大騒ぎになっていました。そのため、私にとっても非常に思い入れのある映画の一つです。では、簡単にあらすじを紹介します。

医師ニックが慈善パーティー会場に乱入!

 ストーリーは医師ニックがロンドンで行われていた慈善パーティーに乱入するとことから始まる。彼は国際医療NGO(モデルとなったのはおそらく1999年にノーベル平和賞を受賞したMSF国境なき医師団)のリーダーであり、アフリカ支援が一向に進まないことに苛立ちを覚えていた。映画の舞台ではエチオピア飢饉による難民拡大の真っ只中。にも関わらず、ロンドンの慈善家たちは派手な衣装を身にまとい、まるで舞踏会のようなチャリティーパーティーを開催していた。そこにニックはエチオピア難民の子ども「ジョジョ」を連れて会場に乱入する。「こんなパーティーは馬鹿げている!」と叫ぶニックに、慈善家たちは嘲笑い、ジョジョに対してもバナナを投げるなど人種差別を行う。そんな様子を見ていたサラは酷く心を痛める。

サラの決意

 この事件をきっかけにサラは家族をロンドンに残し、エチオピアで支援活動をすることを決意する。現地に到着したサラは、飢饉の現状を目の当たりにして呆気に取られてしまう。なんとかニックの医療支援活動を手伝おうとするが、医療現場での経験のないサラを相手にはしてくれない。一旦、ロンドンに戻ったサラはUNHCRで難民救援のための仕事を始める。

独裁政権下のカンボジアへ

 当時のカンボジアはポル・ポトの軍事独裁政権下に置かれており、多くの国民の命が犠牲になっていた。地雷で片足をなくしたNGOスタッフに出迎えられたサラは、再びニックに会いに行く。賢明に支援活動を行おうとしていたサラの姿に、ニックは徐々に惹かれていく。ロンドンに夫と子供2人を残しているサラは禁断の恋に落ちてしまう。しかし、サラの家庭の事情を知ったニックは、これ以上関係を持つべきではないとサラを諭す。

チェチェン共和国での2人の運命は?

 最後の舞台は内戦に明け暮れていた旧ソ連下のチェチェン共和国。夫と離婚したサラは、現地で救援活動を行うニックに再び会いに行く。現地の状況は凄まじく、ニックの安否が確認できないサラは焦る。やがてジャーナリストの情報によりニックが山荘に人質にされていることを知り、二人は再会を果たすが、最後に運命のクライマックスが待っている・・・。

あとがき

 一見題名からしてガチガチの恋愛映画と思いがちですが、当時の世界の現状、国際医療NGOの活動の様子を垣間見ることができます。私は毎回見るたびに泣いてしまいますね。まあ、不倫をしてしまう、というところが如何にも映画のシナリオらしいですが、続きを見たい方はNetflixなどで探してみてはいかがでしょうか。「国際協力を目指す人のための映画パート2」も乞うご期待!

 私はこれまで環境NGOで働いた経験がありますが、いつも国際医療NGOの活動に影響を与えられてきました。次の機会に、日本の国際医療NGOの代表格である「ペシャワールの会」でアフガニスタン医療現場の第一線で活躍された故 中村 哲医師に関する記事を掲載する予定です。

執筆:稲川 武

YouTube: Paramount Movies Digital

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