🇺🇳 国連平和大学で学ぶ(アジアン・ピースビルダーズ奨学金プログラム)

アジアン・ピースビルダーズ奨学金プログラムで学ぶ

こんにちは。今回は、アジアン・ピースビルダーズ奨学金プログラム(Asian Peacebuilders Scholarship Programme、以下APS)について紹介します。

本プログラムは、日本財団が日本及びアジアの若手専門家育成を目的に、毎年約30名に全額支給の奨学金を提供しています。奨学生は中米コスタリカ共和国にある国連平和大学フィリピン共和国にあるアテネオ・デ・マニラ大学で計2つの修士号を取得します。また、同プログラムでは、奨学生が国際社会で活躍するための英語研修の期間も設けられています。卒業生は、JICA、日本国大使館、国際機関、国際NGO、民間企業、起業家など幅広い分野で活躍しています。

因みに、本プログラムは若手専門家育成に重点を置いていることもあり、本プログラムの後期に、主に東南アジア地域で、フィールドプロジェクトを実施しプロジェクトレポートを提出することが修了必須要件となっております。

なお、APS奨学生が本プログラムに応募する前の主な職歴は主に次の通りです。

国際NGO、JICA青年海外協力隊、開発コンサルタント、大使館ODA草の根外部委嘱員、在外公館派遣員、国連職員・国連ボランティア(UNV)(主に東南アジアからの学生)、他民間企業など(順不同)。

APS奨学生は、現在、国連平和大学で以下8つの修士プログラムから専攻が可能となってます。

国際平和学研究科:国際平和学、メディア・平和・紛争研究、ジェンダーと平和構築、平和教育。

国際法研究科:国際法と人権、国際法と紛争の解決。

環境・開発研究科:環境・開発と平和、責任あるマネジメントと持続可能な経済開発。

(2020年10月:APSホームページより引用)

一方、アテネオ・デ・マニラ大学ではAPS14期生から、社会人類学修士課程を専攻することになっているようです。APS13期生までは国際政治学修士課程の専攻となっておりました。

(2020年10月:APSホームページより引用)

プログラムの詳細は下記リンクを参照下さい。

https://nipponaps.wixsite.com/apsjp/blank-1

以下、APS第10期生(2016~2017年)と第13期生(2019~2020年)のコスタリカでの留学レポをご紹介いたします。

国連平和大学:環境・開発研究科で学ぶ

①責任あるマネージメントと持続可能な経済開発学

筆者の伊藤 淳一は、APS第10期生です。国連平和大学では環境・開発研究科で「責任あるマネージメントと持続可能な経済開発」を専攻しました。

まず、環境・開発研究科の特徴として、コスタリカという地の利を生かしたフィールド学習の機会が多い点が挙げられます。例えば、コスタリカ共和国の有名な「生態系サービスへの支払い(PES: Payment for Ecosystem Services)」制度について、実際にフィールドを訪れ、PESに関する理解と考察を深めることができます。

また、責任あるマネージメントと持続可能な経済開発コースでは、経済開発学の理論について知識を深めると共に、主に「市場メカニズム」を通じた社会・経済・環境問題への解決アプローチについても幅広く学ぶことができます。例えば、社会起業に関する事業ではビジネスを通じ多種多様な社会問題に取り組む民間企業、社会起業家、NGO運営者を訪問、又は、講師としてお招きし、各経営者が実践している諸課題解決へのアプローチや経営方法に関し、お話を伺い、議論をする機会が設けられています。

フィールドワークの様子

②環境・開発と平和学

筆者の重吉 倫太郎は現役のAPS13期奨学生です。国連平和大学では環境・開発研究科で「環境・開発と平和学」を専攻しました。このコースは、持続可能な開発、環境ガバナンス、天然資源管理、環境紛争管理などについて、エコロジーと社会の両面から包括的に学ぶことができます。これには、食料システム、水管理、森林システム、沿岸マネージメント、気候変動、都市生態学、社会運動など、幅広いテーマが含まれフィールドワークも充実していました。

筆者の重吉 倫太郎の在籍していた学科では農業や環境問題に関しての問題解決について理解を深めるカリキュラムがあり様々な実践的なコースが用意されていました。例を一つ挙げると、持続的な農業開発(Sustainable Agriculture)の授業では、コスタリカの主要作物であるコーヒーの輸出における様々な問題に関し、フィールドワークを通して環境・社会面から問題を考察・理解することができます。このような授業は日本にはないコスタリカという地の利を生かした実践的な授業だと感じました。

また、国立公園にてフィールドワークやインターンを行うチャンスもあり、なぜコスタリカが「生物多様性の宝庫」と言われているのかを制度や社会、文化面など様々な分野から理解を深めることができるのもコスタリカならではだと感じました。

フィールドワークの様子

国連平和大学の特色

国連平和大学というだけあり、全学部生が履修する科目として国連システムについて学ぶ授業があります。国際協力や国連、そしてそれに対する各国のかかわり方を国連職員等から直接学ぶ機会もありました。何よりもそれ以上に貴重だと感じたのは、約30ヶ国から集まる異なるバックグランドを持つ学生たちとの授業を通したディスカッションや学外での交流が、自己の視野を広げ今後の人生を豊かにする糧になったと感じます。

下の写真は、毎年、同大学で開催される模擬国連の様子です。外部の学生も交え、各生徒がある課題に対し国連加盟国の立場から意見を述べ、採択をするまでのシミュレーションを行います。

模擬国連の様子

生活・環境

私生活でも、ホームステイを通し、リアルなコスタリカの生活・文化に触れることができます。また、スペイン語を学ぶことが可能です。他の学生とシェアハウスをする学生も多くハウスメイトと互いの国の料理を作りあうなど、留学の機会を最大限に生かし、他の食文化にも触れることができます。大学の近くには新鮮な野菜や果物が売られているマーケットも複数あり生活も充実しています。休暇時には、コスタリカのみならず、他の中南米の国々を旅することも可能です。

下の写真は、国連平和大学が位置するシウダ・デ・コロンの市場の様子です。

コロナ禍での授業

コロナ禍ということで、現在、APS第13期生はオンラインという形で授業を受けており、対面とは違った形ではあるものの、その道のプロフェッショナルの方たちからの授業を受けることのできる環境は継続しているとのことです。また、APS13フィールドプロジェクトはリモートで実施する予定です。このような経験はプロジェクトの実施や管理方法の変化が求められるWithコロナの時代に大いに役に立つと思います。

共同執筆:伊藤 淳一重吉 倫太郎

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