ネパールで生活している中で切っても切り離せないのが「牛」の存在です。
交差点で座り込んで渋滞の原因になってしまう牛、バスが急ブレーキを踏み何が起こったのかと道路を悠由と横断している牛、鼻歌混じりに歩きながら何かベチャッと踏んだかと思うと牛の・・そうネパールで生活する中で牛の存在は切り離せない存在です。

ネパール人の8割はヒンドゥー教を信仰しているといわれています。そしてヒンドゥー教では牛は神聖な動物として扱われ、殺したり、その肉を食べたりすることは許されません。たまにネパール人から、「日本人は何の肉を普段食べているの?」と聞かれることがあるのですが、そのとき口が裂けても牛肉を食べていたとは言えません。
さて、そんなネパールですが、水牛の肉は食べることは可能です(ただ、人によっては水牛を食べることを不快に思う人もいます。)多くの人は、牛と水牛何が違うのと思ってしまいそうですが、、、
牛
- 門 : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata 綱 : 哺乳綱 Mammalia 目 : ウシ目(偶蹄目)Artiodactyla 亜目 : ウシ亜目(反芻亜目) Ruminantia 科 : ウシ科 Bovidae 亜科 : ウシ亜科 Bovinae 族 : ウシ族 Bovini 属 : ウシ属 Bos 種 : ウシ B. taurus
水牛
- ; 門 : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata 綱 : 哺乳綱 Mammalia 目 : ウシ目(偶蹄目) Artiodactyla 亜目 : ウシ亜目(反芻亜目) Ruminantia 科 : ウシ科 Bovidae属 : スイギュウ属 Bubalus 種 : スイギュウ B. arnee

分類によると牛はウシ属、水牛はスイギュウ属と確かに異なる種の生き物となっています。アバウトなこと多いネパール人がここまで具体的な根拠を持って牛と水牛を識別しているのか疑問ですが、とにかくネパールでは牛と水牛は取り扱いが異なる生き物なのです。

ネパールに来た当初はどこか異質だった生活の一部に牛がいる風景ですが、乾季が終わり草木の青々と茂る季節になると私が住んでいる家の前の道にどこからか牛が現れるようになりました。大家さんにその牛について尋ねると、道に草が繁茂する時期に意図的に牛を連れてきているとのことでした。大家さんが牛の存在について「牛は道に生える雑草を綺麗に食べてくれ、その糞は畑の肥料になる。大地の母みたい存在なんだよね」と教えてくれました。
時々、その牛が道を塞いで私の通勤の試練となっていたのですが、草が茂っていた道も牛のおかげで綺麗になり、落としていった糞を近所の農家さんが拾っている光景を見るたび大家さんの話を思い出し、自然と私も牛を尊く感じてしまうのでした。

執筆:橋本 良